次の日は、テントをたたんでから出発しました。また登って歩いてを繰り返していたら、次第に見かける羊の数が増えてきました。人が住む場所が近づいてきたんでしょうか。
山を登るようなことななくなってきて、丘をいくつか越えているうちに、半日くらいたって山の頂上に着きました。
見渡す限り、圧巻。K2の異様かつ威厳のある形が眼前に広がり、すぐ周りには年中氷の残る山々が連なっていました。緑の草原が広がり、羊が歩き回り、インド人が犬を使って羊を誘導していました。氷が溶けてできた、冷たく透明な川が流れていました。
あのインドとこの大自然。ギャップを感じて筆舌しがたい衝撃を感じた瞬間でした。
標高5000メートルを超えるその山頂では、基本的に大自然を眺める以外にすることはありませんでしたが、毎日近くの場所に連れて行ってくれたので、新しい世界を日々発見することができました。
2度と忘れられない大自然の姿は、人生観を変える以外の何物でもありませんでしたが、1点残念なことがありました。
「いくら追加で払えば、これが食べれるよ」「いくら払えば、滞在を延長できるよ」「いくら払えば、あそこに連れていってあげるよ」
食事の度に、俺を金づると思って金かかる話しかしない。俺はクレジットカードで2100ドルをドブに捨てたんだ。もういいだろ!と精神的にやられた私に追い打ちをかけるガイド。超気分悪い。
「いらん!もう二度と金の話はするな!」と怒鳴った後の、彼の次の言葉が「デリーに戻るにはバスがいるだろう。手配してやろうか?」
同じくトレッキングで一生懸命登った相棒がこれかよ。こんな寂しい思いを感じずにはいられませんでした。彼とはそれ以降、まともに口を利くことは二度とありませんでした。
ただ、そんな中で、ある拍子に彼があることを言いました。内容ははっきりとは覚えていませんが、その中で、ニューデリーで俺に声をかけたインド人が、船上ホテルのおっさんの息子だということがわかりました。
なるほどな。ニューデリーで観光客に声をかけ、ラダック旅行と言って安心させながら、実際にはカシュミールにある親の船上ホテルに送りこむビジネスをやってるのだとわかった瞬間です。
1度、イギリス人2人が私のトレッキング先に現れたことがありました。最初は私のガイドがイギリス人と話をしていて、「あのアジア人は誰だ?英語はしゃべれるのか?」と聞かれ、「何にも話さないよ」と答えてました。
実際には、それからそのイギリス人と私は、1時間くらいべらべら英語で楽しく話してました。お前が信用ならないからしゃべらないだけだよ!なんて心の中で思ってました。人間不信の極限に陥っている中、温かいイギリス人とのおしゃべりは救いでした。
対策:心が病みそうなときは、心の澄んだ人と接する。
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