2013年8月4日日曜日

留学は就職・転職に有利?不利?海外留学という実績を最大限に就職の味方につけ、社会人として華麗なスタートを切る方法

リーマンショック後の今の日本の就職・転職状況は、就職氷河期と呼ばれた1993~2005年よりも厳しいと言われます。今就活・転活をしている人や、これから就活・転活に挑むことになる人たちの多くは、これからどうしていけばいいのか大きな不安を抱えていることでしょう。



海外留学をするということに対して、就職・転職に有利だとか不利だとか、いろんな意見が長い間交わされてきました。確かに、海外留学をすると、日本の大学に通う学生と同じようなスケジュールでの就職活動ができません。留学することでスタートに出遅れ、希望の企業の受験にも間に合わなくなるかもしれません。

一方で、何の専門性も武器も持たない多くの学生にとって、大きな成長の機会でありアピールポイントにもなりうる留学は、あるいはとっつきやすい武器のひとつともなるでしょう。

今回のブログ記事では、 海外留学のこれまでとこれから、就活・転活にとって有利なのか不利なのか、そして留学を最大限に就活の味方につけるにはどうすればよいのかを考えていきたいと思います。


留学経験者が冷ややかな目を浴びてきた日本の閉鎖的環境

海外留学はこれまでも盛んに行われてきましたし、むしろ日本人の留学がもっとも盛り上がっていたのは1990年台~2000年台前半の間でした。この時期は日本の景気にまだ底力があり、世界の中における日本の存在が大きい時代でした。

そんな時代に多くの日本人がアメリカを中心とする先進国に留学していたのですが、この時期はむしろ留学生にとって不遇の時代でした。

留学中にいろんな異文化体験をし、英語力や専門性を身につけ、意気揚々と日本に帰ってきても、いろんな困難に遭遇しなければなりません。

まず、就活の時期が合わない。海外の学位を認める企業が少ない。新卒とされないため、職務経験がないのに転職者と勝負しなければならない。留学生を鼻から受け入れる意識がない。

日本企業の職場にはほぼ日本人しかおらず、日常の業務はほぼすべて日本語だけで行われるため、英語力が何の役にも立たない。

世界最先端の大学で身につけてきた教養教育で培ってきた考え方、コミュニケーション、論理性などが煙たがられ、「あいつは留学でアメリカかぶれしてるからダメだ」と集団いじめの対象にされる。意見を言うと「あいつ生意気だ」ということで、無視して仕事を教えない。

留学生を採用するのは、日本国内の学生を十分採用できなかったときの補充要員として考えるときだけ。日本の大学卒の社員を海外勤務として左遷させると印象が悪いから、昇進ルートにない留学経験者を代わりに充てるための存在として使う。

日本企業がまだそれほど危機感を抱いていなかったがために、留学経験者を受け入れる土壌がない時代が続いてきました。長いこと就職氷河期が続いてきた時代にも、日本の企業はまだ余裕があり、そのために日本の大学卒の社員をこれまで以上に活用するだけで、企業として存続することができてきたのです。

そして、留学経験者にとっては「あの留学経験は一体何だったんだろう。なんで日本に戻ってきちゃったんだろう」と、日本に戻ってきた逆カルチャーショックから立ち直るのが大変で、時に理不尽な不遇に耐える時代が続いてきたのです。


いまだかつてないほど厳しくなっているグローバル就活戦線

そんな留学経験者を活用することなく、まったりと継続してきた企業が今、窮地に立たされています。

世界に冠たるパナソニックが、2年続けて7,000億円もの赤字を垂れ流すようになりました。「亀山モデル」で世界の注目を浴びたシャープが、年間5,000億円もの赤字を出しています。世界的に有名なブランドSONYも、エレクトロニクス部門で1,300~1,700億円もの赤字を出しています。

日本にいるとなかなか気がつきませんが、世界において日本製品は消えようとしています。日本製品を愛用してきた家庭でも、買い替えが進み新しい製品は韓国製や台湾製、中国製に取って代わられています。各製品タイプの世界での販売シェアを見れば、それは一目瞭然です。

日本人が愛してきた、日本を代表する大企業が、経営破たんでなくなるか、中国など外国企業に二束三文で買い叩かれる時代が来ています。日本企業がほぼ全滅の現状を、冷静に見つめる必要があるでしょう。

日本ほどでないにしても、欧米先進各国で同様の自体が起きています。世界的に見て裕福な生活レベルを維持していて、日本と比較しても借金の規模がずっと小さいEU加盟国のポルトガル、スペイン、アイスランド、ギリシアなどでもすでに財政破たん状態になっています。

日本ほどの長期停滞はありませんが、先進国の経済成長率は押しなべて停滞しています。スペインなどは、失業している人が国民全体の4分の1強、若年層にいたっては5人のうち3人近くが失業しています。

先進国が長期停滞を続ける一方で、破竹の勢いで成長しているのが新興国経済です。

おなじみのブラジル、ロシア、インド、中国のBRICsもそうですし、ASEAN加盟諸国、中東、アフリカ、南米、世界中のどの地域をとっても目覚しい経済成長の真っ只中にあります。経済成長率の低い国ランキングで上位に来る国には、先進国が勢ぞろいしているのとは対照的です。

こうした国々は、多かれ少なかれ先進国に住む人々が従事しているサービスを、格安で提供することで利益を得て経済成長しています。


これからの時代を生き抜く唯一の策

こうした時代背景にあって、日本を救う切り札、あるいは救世主として注目を浴びている人たちがいます。

海外で鍛えられてきた日本人留学経験者や、海外からはるばる日本にやってくる外国人留学生です。

世界において日本製品やサービスが見向きもされなくなり、日本の労働人口や若年人口が激減する今の時代において、日本企業は逃げ場がなくなってしまいました。現在の世界経済を生き延びるために、世界から仕事を取ってくることのできる人材が必要とされているのです。

グローバル人材」という言葉が、近年急速に使われるようになってきています。すでに経済界、政界において、グローバル人材の養成・確保に向けて急ピッチに動いています。

このグローバル人材とは、どういった人材を言うのでしょうか。

以下は政府資料によるグローバル人材の定義です。

「未知の世界、時に非常に厳しい環境に、『面白そうだ』『やってみたい』という気持ちで、積極的に飛び込んでいく前向きな気持ち、姿勢・行動力を 持っていること。そして、入社後に一皮、二皮剥けるため、『最後までやり抜く』『タフネスさ』があること。しっかりと自分の頭で考え、課題を解決しようと すること。」(厚生労働省、第9回雇用政策研究会資料。2012年7月23日)

つまりは、

 1.未知の世界に飛び込める行動力
 2.最後までやり抜くタフネスさ
 3.自分の頭で考え、課題を解決する能力

という3つを備えた人材が、グローバル人材なのだということです。(ダイヤモンドより)
見事によくできた定義だなと、深く感心します。

これを一言で言うと、「世界で結果を出せる」人材ということではないでしょうか。価値観や文化の違いを超えて、行動ののちに結果を出せるということです。

定義を見てわかるとおり、別に留学経験が必要だとか、英語力がどのくらい必要か、といったことは含まれていません。グローバル人材たるには留学経験や英語力は道具ではありますが、それは本質的に重要なことではないのです。単に留学経験者にはこの定義を満たす力を身につけた人が多いだけです。

あなたは、グローバル人材でしょうか。

今この瞬間に、日本がなくなったとしましょう。命からがら海外のある国にたどり着いたあなたは、早速仕事を見つけて立派に食べていくことができるでしょうか。

日本がなくなった瞬間から食べていける、そんな底力のある人材が、グローバル人材ということでしょう。

この基準は、決して高い基準ではありません。むしろ、最低限の基準を満たした人材というべきでしょう。グローバル人材となるために、なにも人生の目的を持てだとか、夢・志は何かとか、世界No.1であれとか、求めているわけではありません。心がけ次第で簡単に達成できる基準です。

グローバル人材というだけでなく、その先を行く人材となり、世界規模で自己実現などができるためにも、まずはグローバル人材という土俵に上がる必要があるのです。

日本という枠にしがみつくことなく結果を出せるグローバルな人材が、救世主のごとく求められているのです。
 

世間の視線に反して日本の政治経済を牽引してきた留学経験者

今はグローバル人材を求める声が急速に高まっていますが、実際には、これまでにも、日本を変えてきた人たちの多くは、留学経験者です。

今のトヨタ社長の豊田章男氏もそうですし、ローソン社長の新浪 剛史氏、楽天の三木谷 浩史氏、ソフトバンクの孫 正義氏、DeNAの南場 智子氏、経営コンサルタントの大前研一氏などなど。

政界では、安倍 晋三、鳩山 由紀夫、麻生 太郎、小泉 純一郎といった首相経験者が留学しています。

そのほかにも無数に留学経験者が日本で活躍していますが、ここで羅列するのは大変なのでググってみてください。


留学経験者が持つ伝統的な長所

留学経験者が持つアドバンテージには、どのようなものがあるのでしょうか。

<<働ける国、職種が多い>>
英語力や異文化コミュニケーション力、世界レベルの広い視野などを持つことで、日本以外にいろんな国で働くことができます。また、日本で盛んだが日本以外で盛んでない職種は日本で従事し、逆に、世界で盛んだが日本で盛んでない職種は海外で従事するといったように、働く選択肢が増えます。

<<人脈が広い>>
日本という同質な人々が集まる国の中では、出会う人も同質にならざるを得ませんが、世界にはいろんな人がいます。海外には、ありとあらゆるタイプの人がいて、自らの夢・志の実現を助ける人脈を、いくらでも築くことができます。

<<人間力が高い>>
留学経験者は、日本という慣れ親しんだ土地・人を離れ、世界に散らばり、日本では経験することのない多くの経験をすることができます。その中で、それまで持っていた自らの限界を打ち破り続けることで、日本でぬくぬくとしている間は得られない、多くの識見、寛容性、タフさ、エネルギーを身にまとうようになり、高い人間力を身につけます。

<<環境への適応力が高い>>
海外で生活することで、いろんな観点からそれまで持っていた日本人としての考え方・行動・文化を、一時的に放棄するタイミングが訪れます。そのように一部譲歩しながら異文化の環境で生きるということを学び、同時に日本人として守るべきあり方を大事にするようになります。単一の文化による縛りを越えて適応できる、高い適応力を持つようになります。

<<収入が高い>>
高い収入を得る多くの機会に恵まれます。より高い収入を得られる国に移り、より高い収入を得られる職種を選び、日本人に限らずマネジメントできる環境を得ることでより大きな成果を上げることができます。異文化の中でつちかってきた人間力により、より高い実績を挙げることができ、結果として高い収入につながります。

たとえ世界に出ずとも、日本国内では外資系に勤められるチャンスが大きくなり、また、世界に威勢よく出ている活気ある企業で働くことができます。

ちなみに、海外の大学を卒業した人が、いくら年収をもらっているのか知っていますか?

朝日新聞が発行している雑誌AERAに、主要企業における、主要大学別に見たサラリーマンの年収が掲載されたことがあります(2009年)。

この記事によると、京都大学、東京大学に続いて、海外大学の卒業生の年収が堂々第三位に輝いています(平均年収816.3万円)。これにはハーバード大学卒業の人もいれば、州立2年制大学卒、中国の大学卒、あるいはインドの大学卒といった、あらゆるタイプの海外大学卒業生が含まれているでしょう。全部ひっくるめてこの平均年収とは驚異的ですね。


留学生の就職活動に追い風が吹いている理由

留学経験者は留学未経験者と比べても、伝統的に高いアドバンテージを持ってきましたが、近年、さらに留学経験者にとって追い風が吹いています。

<<グローバル化の進展>>
世界各国間において、ますますモノ・人の行き来が自由になり、世界中で同じような製品やサービス、知識が広がる中、1つの国にこだわる意義が急激に薄れています。グローバル化が急激に進展するなか、日本という1つの国にのみとどまり、日本でしか学ぶ気概のない人は、抗いようのない時代から逆行しており、今のグローバル化においてお話になりません。

逆に、時代の流れを先読みしていち早く行動を起こしている留学経験者は、ますます元気のいい企業の引っ張りだことなっています。

<<英語を使う社内環境の増加>>
人の流れが活発になり、英語での情報にいつでもアクセスできる時代にあって、企業内でも英語を使う機会が急増しています。これまで日本語だけで上司の機嫌を取れていた時代が終わりつつあり、上司や部下が日本人ではないことが、珍しくなくなってきています。

そんな中、すでに英語を流暢に操れる留学経験者が、社内において発言権・影響力を持つようになってきています。逆に、日本語だけ得意で大きな顔をしていた人たちは、英語ができないために会話すらまともに進まない時代になってきています。

<<教養を重視する教育改革の進展>>
日本の大規模かつ止まらない停滞を見るにつけ、アメリカやイギリスなどで成果を上げてきた教養教育(リベラルアーツ教育)の導入が、日本でも活発に議論されるようになってきています。

今もっとも日本で注目されている大学は、秋田国際教養大学、東京大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学など、どれも教養教育に力を注いでいる大学です。また、国際基督教大学(ICU)も、アメリカのリベラルアーツカレッジを模範として創られています。

アメリカという教養教育の本場などで、教養を自分に叩き込んでおくことで、日本国内の学生に先駆けて人間力を鍛え、日本社会の改革を担うことができるでしょう。 

<<日本国内人材の内向き化>>
日本の企業で働いている若手社員は、一昔前の若手社員よりも海外赴任を嫌がる傾向が強いそうです。日本国内にいる人材が内向きになり、リスクを取ることを極度に恐れている一方で、ますます多くの日本企業が、もっと海外に進出するしか道がないことを悟っています。

 そんな中、留学経験者は海外アレルギーに縛られていないために、企業からは切り札のように重宝され、実績を出すことでキャリアアップの道は大きく広がることでしょう。

<<日本の政治と経済両面での支援>>
グローバル人材の育成・確保が至急の課題であることは、経済界において大変深刻に捉えられています。楽天やユニクロといった時代を先駆ける企業、また今の自民党政権が、大々的にグローバル人材の積極活用や積極育成を進めています。

自民党は、2013年の参院選で掲げた公約として、英語教育の抜本改革、秋入学の促進、2020年までに留学生を倍増、世界大学ランキングトップ100に日本の大学が10校以上入ることを目指す、といった改革を掲げています。

自民党が圧倒的に強勢の今、こうした強気のグローバル人材対策が、続々と進められていくでしょう。
 

<<ジョブフェアの規模拡大>>
留学生は就職スケジュールが悪いから就職に不利、というのは、過去の話です。留学生と企業のマッチング場所として開催されているジョブフェアが、年々規模を拡大しています。

ジョブフェアとして最大のキャリアフォーラムは、ボストンに始まり、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、シドニー、東京と、開催の場所を増やしています。また、各キャリアフォーラム開催での参加企業数も増加しています。

留学生にとって最大かつもっとも効率的な就職の場は、このキャリアフォーラムです。開催のたびに、参加者の20~30%の人が内定を得て帰っていきます。そのキャリアフォーラムが規模を拡大しているということは、留学生にとってこの上もない大きな就職チャンスが訪れているといってよいでしょう。

キャリアフォーラムに参加している企業のほとんどは、日本あるいは世界屈指の大企業です。日本国内の学生が数百倍~数千倍の倍率をかいくぐって、ようやく就職できるような人気企業が、留学生ということでその場で内定をがんがん出してくれます。大企業に就職したい人、大企業の中に希望の企業がある人には、大チャンスとなるでしょう。

<<ネット環境の充実>>
IT革命の進展により、当たり前ではありますが、世界のどこにいても最新かつ有意義な情報にいつでもアクセスできるようになったことで、留学生の就職活動は飛躍的に進めやすくなりました。同時に、留学生を強く欲している企業も、留学生にアクセスしやすくなり、また企業の広報活動もしやすくなりました。

そして、グローバル人材の確保が叫ばれる昨今において、情報はますます充実してきています。

<<就職活動時期の柔軟化>>
昔は大企業といえば春の新卒採用ばかりで、この時期がほぼ唯一入社できる可能性を秘めた時期でした。それが、留学生を含めた多様な人材の確保を主な目的として、秋採用が増え、さらに通年採用が増えてきました。

企業は、決まった時期に一度に新卒社員を刈り取る方法から、いい人材がいればその場で採用していくスタイルに方向を変え始めています。

また、学生が就職活動に追われて学業にまるで集中できず、まともな学力を身につけないで学生が卒業していくことの弊害が大きく問題になっています。そのため、就職活動の開始時期を大学3年が終わる3月に、選考開始の時期を8月以降にする動きが進んでいます。

この就職活動開始時期の繰り下げが現実となれば、海外大学卒業生や、日本の大学から交換留学した人たちでも、就職活動のタイミングには大方間に合います。

不利な戦いを強いられてきた割には健闘してきた留学生と、日本でぬくぬくとリスク回避してきた大学生が同じ土俵で勝負できるようになれば、多くの留学経験者にとって有利に働くでしょう。

<<新卒扱いの柔軟化>>
海外留学すると、どうしても日本国内の大学生よりは年齢的に上になりやすいため、年齢で不利に働くのではという懸念がありました。特に、海外の大学在学中は就職活動が難しいため、卒業後に日本に戻ってきてから就職活動をすることになるのですが、これでは既卒扱いされ、受けられない企業が多くなってしまいそうです。

そこで、海外の大学卒業生の場合は、卒業後1年以内なら新卒扱いとしたり、卒業後1年たっていても新卒扱いにするというような、柔軟な判断がされるようになってきています。 

<<女性の積極活用>>
海外留学に憧れ、実際に留学していく人の6~8割は女性です。会社組織は伝統的に男の論理によって作られてきたため、女性は伝統的に重要な地位につけませんでした。男女雇用機会均等法ができて女性の社会進出は少しずつ進んできましたが、経済停滞もあり、大きな改善は見られませんでした。

ところが、近年のグローバル人材の機運が高まると、企業が留学生を積極活用する流れが生まれ、結果的に女性の機会向上にもつながっています。企業としても留学生と女性を活用できるよい機会となり、対外的にもダイバーシティを宣伝することができます。

ダイバーシティを高める恰好の対象として、女性留学経験者に自然と注目が集まっています。


これができれば留学生は必勝!就職・転職の極意

ここまで、留学経験者が持つアドバンテージと、さらに追い風となる側面を見てきました。留学は有利か不利かと問われれば、いろんな意味で大きく有利なことがわかりました。

ですが、当然、留学経験者だからといって余裕をこいていてもうまくいくわけではありません。留学経験者などはいくらでもいるので、それだけでは何の差もつきません。留学経験者は、他の留学経験者や、世界中に存在する優秀なグローバル人材との比較において優位性がないといけません。

どうしたら、激化する就職戦線において優位性を示し、希望の内定をゲットすることができるのでしょうか。いろんな本やネット情報が出回ってはいますが、根本的なところで大事だと私が考えることを、お伝えしていきましょう。


<<巷に出回っている就活スケジュールをリセット!常にライフプランニングをする>>
まず、大事なことは、他人が決めたスケジュールに惑わされないことです。もちろん、就活本やネット情報には、就職活動に取り組む際のサンプルスケジュールが載っていて、参考にはなるでしょう。

でも、他の人と同じことをしている間は、あなたに何の付加価値も生まれることはありません。あなたそっくりの内定候補者がたくさんいる中、たまたまあなたに白羽の矢が当たることは、宝くじに当たることを当たり前だと思うのと同じくらいに愚かしいことです。

他人のスケジュールがわかったならば、自分はそれを上回るスケジュールを立てましょう。

コツは、
1.誰よりも先んじて取り組む
2.誰よりもたくさん取り組む

この2つです。これは、何事にも勝つための定石です。いくら少林寺拳法の世界では相手の力を利用することの達人でも、K-1のような最強を決める世界では瞬殺されるでしょう。戦争で勝つには、相手よりも先に仕掛けることで圧倒的に有利になります。ソフトバンクの孫社長もこれを心得ているので、大事な事業は誰よりも早く、圧倒的なボリュームで取り組みます。

そして、もっとも有効なスケジューリングとは、人生全体を捉えたライフスケジューリングなのです。

おそらく、世界人口の99%は、行き当たりばったりの人生を歩んでいます。日本人もその例外ではありません。

あなたは、人生の目的を持っていますでしょうか。それは文字として紙に書き留められていますでしょうか。人に聞かれた瞬間に答えられるでしょうか。自らの人生の目的を心に浮かべた瞬間に、あなたの心は高鳴るでしょうか。

もしNoであれば、あなたは目的のない人生を歩んでいることでしょう。そんな自分の人生は、生きていても死んでいても特に変わらない人生だと感じはしないでしょうか。

先進国を先進国たらしめた教育には、人生の目的を意識的に考えさせるタイミングはほとんど皆無です。高校受験が終われば大学受験目標に向かい、大学受験が終わったら就職という目標に向かう。就職したら年金を払い続けて老後に備える。

他人が万人向けに作り上げた目標です。それは「目標」ですが、「目的」ではない。目的のない目標には、本質的な存在価値はないに等しいです。でも、今私たちを囲む社会では、そうした自己目的化した目標を達成することを前提としてしまっているため、多くの人が目的のない人生に身をけずって働いているのです。

この無目的な人生を打破して、意味ある人生を歩み始めるには、人生の目的を明確に定め、ライフプランニング・スケジューリングを実行に移す以外に道はありません。

人生の目的を明確にし、それを達成するためのスケジュールを逆算して日々考え、紙に具体的に書き出し、壁に貼りましょう。私は、寝室の壁一面に、絵や画像、色を織り交ぜて、人生の目的や人生全体のキャリアプランを張り出しています。そして、毎日それを見ながらわくわくしています。

よく、就職・転職活動をする際には就職・転職活動関連の書籍を買い、ただ単にSPIや履歴書対策、面接対策等に終始している人がいます。これは就職活動・転職活動を無事に終えることが、自己目的化してしまっている、つまり無意味な人生を歩んでいる典型です。

無意味な人生をやめて、人生を最高に彩りあざやかなものにするためにも、就職・転職活動は理想のライフプランニングに沿った活動にしましょう。これが、最高の就職・転職活動にするための大前提です。就職・転職活動の時期に、「就職活動」「転職活動」だけをしないことです。

人生を最高なものにするのに必要なのが、誰よりも早く、誰よりもたくさんライフプランニングに取り組むことであれば、就職・転職活動も同様です。就職・転職活動を、誰よりも早く、誰よりもたくさん取り組んだ人が勝ちます。

「人生の目的をいつ定める?今でしょ!」
「いつライフプランニングする?今でしょ!」
「いつ就職活動・転職活動する?今でしょ!」

と、いうことです。就職・転職活動をいつ始めればよいのか、という質問はナンセンスで、常日頃、今この瞬間に就職・転職活動をしているべきなのです。

人生の目的に沿って、ライフプランニングをし、それに沿った就職・転職活動ができる人は、軸・芯が通った誠実な人材であることが採用担当者に伝わります。そうした人材は満足いく就職・転職活動ができるでしょう。


<<人生長い。就活・転活という一瞬に惑わされるな>>
ライフプランニングができたら、次は就職・転職活動を具体的に考えるわけですが、就職・転職活動でむやみに一喜一憂する必要はありません。確かに、就職・転職活動の間にはストレスがたまることも多いかと思いますが、人生あと100年くらいはある中のほんの一瞬です。就職・転職活動を一生懸命にやっていれば、よい人生経験になるでしょう。

また、企業に入社してからは、会社をやめたらもっと大変になると巷で言われることがありますが、でたらめです。転職活動を始めて転職先が決まるまでの平均受験社数は10社、面接を受けた会社数は5社です。就職活動よりも、転職活動のほうがはるかに楽なことがわかるでしょう。将来に関して変に悲観的になることはないのです。

就職活動中は、思い切り苦労してもよいのです。苦労を避けて無難に内定した企業にもぐりこむよりも、ライフプランニングに合った、お金を払ってでも勤めたい企業を狙うほうが、よほど将来の糧となります。


<<「できること」と「やりたいこと」が一致する職場を選ぶ>>
最高の職場を見つける際の鉄則だと、私が思うことがあります。それは、「できること」と「やりたいこと」が一致した職場を選ぶということです。

企業で働くということは、仕事をしながら社会に価値を提供するということです。あなたができない仕事をしていてもゆくゆくは社内での居場所がなくなりますし、収入も上がりません。

一方、自分がやりたいことでなければ、長続きしませんし、生きていてむなしくなるだけです。

職場は、この「できること」と「やりたいこと」が一致するところを選ぶと、自分が持つ力を最大限発揮し、充実した人生につながります。


<<見た目と中身、両方重要>>
人間の価値は、すべて見た目で判断されます。最初は履歴書で文字から人物像が判断されますし、面接では表情などの体の使い方、立ち居ぶるまい、しゃべり方、話した内容などで判断されます。こうしたすべてのことは、表に出てきたものです。つまりは、見た目で判断されているということです。

ただ、これは中身が大事でないということではありません。むしろ、逆です。中身のすべてが表に出てきてしまうからこそ、中身を磨く必要があるのです。

常日頃中身を磨き、結果としての見た目が、相手にどんな印象を与えているのかを理解しましょう。そして、相手が感じている印象を、自分の中身を鍛えるための参考材料として大事にしましょう。


<<余計なことは言わない、聞かない。優秀に見えない工夫>>
就職・転職活動では、余計なことを言ったり、聞かないようにしましょう。このことは実際には、就職・転職活動中に限らず、普段の生活の中や仕事の中で非常に大切です。

「口は災いの元」といいます。仕事の中では余分な一言で人間関係や取引関係が終わることがあります。また、情報漏えいやライバル企業などに会社を揺るがすような弱みを握られることもあります。

 アメリカなどへの留学を経験した人は特に、気になったことはどんどん質問し、どんどん意見を言う癖がありますが、これは悪い癖です。日本企業で働く多くの人は、留学経験者のこうした態度に強度のアレルギーがあります。当然、面接では瞬時にアウトです。

外資系ではこうした態度が逆に好印象につながることがありますが、将来的なことを考えても、余計なことは口に出さないことを意識するとよいでしょう。


<<日本語が使えること>>
留学経験者にとって、予想以上に苦労するのが、この日本語という壁でしょう。今でも留学生を採用しようとする大半の企業は、日本語の履歴書や職務経歴書を提出させ、日本語で面接を実行します。そして、社会人としてまともな日本語を話してくれそうかどうかが、大きな判断基準のひとつとなっています。

私の周りで就職にうまくいった海外大学の卒業生たちは、留学先でも一定の日本人と常に交流を持ち、日本語に支障がなく、日本語を通して多くの就活関連情報を得ていた人たちばかりです。

私自身、長い間日本語をほぼまったく使わない期間が長かったため、留学から日本に戻ってくるまでは日本語がほとんど片言でしか話せなくなっていました。当然、面接での受け答えには慣れるまで相当苦労しました。たくさん日本語の練習もしました。

留学先でも、日本人との交流は一定程度続けることで、就職活動に備えるとよいでしょう。


<<アジアで働くことを前提としたキャリアプランを考える>>
今でも、大学留学となるとアメリカを中心とした欧米留学が基本です。留学経験者の多くが欧米留学で、これは多くの人にとって正しいことでもあると思いますが、就職後も欧米への転勤を中心に考えることは、時代の流れに合わないでしょう。

今や、先進国の経済は成熟しきっています。ビジネスチャンスはそこにはほとんど見出せなくなっています。先進国ではなく、アジアなど急成長中の経済には大きなチャンスがあり、多くの企業は将来的に社員を開発途上国に送りたいと考えているか、あるいはすでに送っています。

日本国内や欧米先進国で働くのではなく、アジアで働くことを前提としたキャリアプランを今のうちから考えておくと、将来大きく活躍できるチャンスがめぐってくるでしょう。


<<ジョブフェアで内定することを前提としたスケジューリングをする>>
留学経験者は、留学経験者のみが参加できるジョブフェアで就職活動できる機会もあれば、日本の学生と同じように就活する方法、リクルートキャリアを使って転職者と同じような就活もできますし、ハローワークを利用する方法、また気になった中小企業に直接問い合わせる方法など、いろんな方法を使って就活をすることが可能です。

留学経験者は、どんな方法で就活をするのがもっとも有効なのでしょうか。私はずばり、ジョブフェアで内定することを前提としたスケジュールを立てて就活を進めることが、もっとも効果的な就活方法だと思います。

私の周囲で就活にうまくいった留学経験者たちのほとんどが、キャリアフォーラムを活用しています。逆に、キャリアフォーラムに行っていない、または活用していない人たちの多くの就活は泥沼化しています。

日本の学生と同じように就活をしても、求める学生タイプが違いすぎるので相手になりません。リクルートキャリアを使っても、ほとんどの場合転職者と比べられてしまい勝てる見込みが薄いです。ハローワークを使うと、留学経験者にとって物足りない企業への就職となってしまうでしょう。中小企業に直接問い合わせる方法も、将来性のあるベンチャーでなければ、成長意欲の低い中小企業ばかりのため、留学経験者は煙たがられるでしょう。

唯一、ジョブフェアだけに、留学経験者を死んでも取りたいようなグローバル思考の強い企業が集結しています。そして、実際に内定もその場で出したり、その後の選考にどんどん進むことができるのです。

たまに聞く意見ですが、ジョブフェアで内定が取れたらラッキーという意見は大ウソです。留学生がジョブフェアで内定を得ることなしに、満足いく就職ができる方がまれです。ジョブフェアの外を出ると、留学生を欲しがっている企業は望遠鏡を駆使してもなかなか見つかりませんが、ジョブフェアには留学生を欲しがっている企業が勢ぞろいしてくれます。

留学経験者はぜひ、ジョブフェアでの内定を前提としたスケジューリングを立てましょう。


<<逆の発想を行く。多くの人がダメだと言うが、将来性のある道を行く>>
何事にも言えますが、他人と同じ行動をしてもラットレースに飲み込まれるだけです。自分なりの軸と視点を持って、むしろ人と逆の発想、そして将来性のある道を行くようにしましょう。

人が有名大学を希望するならば、自分は無名の名門大学を希望する。人がカリフォルニアに留学するならば、自分はエジプトに留学する。人が大企業を希望するならば、自分はできたてのベンチャーを希望する。人がアメリカ勤務を希望するならば、自分はベトナム勤務を希望する。

誰も興味ないが、将来性のあることをしていれば、将来自分のしてきたことに需要が出てきたときに、自分が全部利益を持っていくことができます。当然、就職活動でもうまくいきます。

ところで、私はマイナビ国際派就職EXPOというジョブフェアに参加し、社員数が当時5人という参加企業の中でもっとも小さく、かつ創業年が新しい会社を第一志望とし、就職しました。


<<「シンプルさ」「基準の高さ」「情熱」「リーダーシップ」の4つ>>
就職活動という人生の一部を満足なものにするために、私が大事だと思う軸は、以下の4つです。

「シンプルさ」 ― 問題を複雑に考えず、シンプルに捉えて実行すること。頭でっかちになりがちなアメリカの大学留学経験者には特に大事なことでしょう。
「基準の高さ」 ― 常に自分ができる最高を目指すこと。最高の組織を作るべく努力していること。
「情熱」 ― 人は論理だけでは動きません。情熱・エネルギーを注ぎ込めること。
「リーダーシップ」 ― 自らを律して協調性を持って仕事を進められること。また人を巻き込んで結果を出せること。

これらの軸に沿って生きていれば、就職に困ることはないでしょう。




 
<<最後は教えの通り実行>>
大事なことはすでにお伝えしてきました。後は大事なことを丁寧に実行に移していくのみです。これまで私がお伝えしてきたことを実行するのもそうですし、就活本に書いてある内容を実行することも、とても大事です。就活本は、本質的なことが書いてあり、それに沿った行動を示してくれる本にするとよいでしょう。

何十社受けても内定が出ないというのは、この丁寧に実行するということができていないケースがほとんどでしょう。企業の採用担当者のすべてが人格的に、または採用のスペシャリストとして卓越しているわけではないでしょうから、まったく内定が来ないということは、就活本に書いてあるような基本的なことを実践できていない可能性が高いです。

素直になって丁寧に先輩の教えを実践しましょう。


留学生の就職・転職が不利になるケース

留学経験者には伝統的に高いアドバンテージがあり、さらに近年留学生にとって驚くべき規模で追い風がやってきていることは、すでにお伝えしました。

 しかし、それでも留学経験者の就職・転職にとって不利になってしまうケースがあります。もしあなたがこれらのケースのうち1つにでも当てはまっていたら、あなたの就職・転職がうまくいく可能性は低いでしょう。


<<異文化アレルギーのある企業を希望する場合>>
異文化に対して強度のアレルギーがある企業を希望する場合が、最大のケースでしょう。異文化アレルギーのある企業は、おそらく日本で営業している企業全体の60~70%を占めているのではないかと推測します。

こうした異文化アレルギーのある企業を受ける場合、まず提出した履歴書で「海外かぶれしてそうだ」ということで面接に進めないことが多くなります。書類選考をすり抜けて面接に進むと、今度は「書類では海外の大学を卒業したと書いてあったけど、やっぱりこの子は面接で海外の話をしてきたな。なんかむかつく。社長も部長も海外嫌いだし。不合格」

選考で落ちたら、異文化アレルギーのある企業に入社することもないので不幸中の幸いですが、幸か不幸か内定が出てしまうことがあります。

この場合の不幸は想像を絶するでしょう。毎日根本的に虫の好かない同士が、毎日顔を合わせ、一緒に仕事を進めなければならないのです。上司は権威を盾にして暴言を吐いたり暴力を振るったりできる一方で、部下である留学経験者はモチベーションが最悪な状態で、仕事でのパフォーマンスを出し続けなければならないのです。

異文化アレルギーのある企業は、社員の顔色に出るので判断しやすいでしょう。そうした企業には面接辞退を申し出ましょう。


<<就職・転職活動に出遅れた場合>>
先ほど早くからライフプランニングに取り組むことが大事とお伝えしましたが、その逆にライフプランニングや就職・転職活動に出遅れる場合は不利になってきます。

仕事でも何でもそうですが、後手後手に動く人は周りに振り回されるようにして生きているため、生きる軸がなく、仕事も後手後手となり、できない社員となりがちです。

企業側もそのことをよくわかっているため、早いうちから動いている人に目をつけて採用活動を進めています。早いうちから履歴書やエントリーシートを送ってくる人、SSPでスコアを出せる人、キャリアフォーラムで初日の朝一番に面接を受けにやってくる人などなど、動きの早い人が圧倒的に有利になります。

それ以外の人は、出遅れたというだけで圧倒的に不利になります。

来年の就職活動から、企業の採用活動開始時期、内定を出す時期が大きく繰り下げとなる予定ですが、これを真に受けてはいけません。真に受けて行動を先延ばしにすると、例年と同じように不利な状況に追い込まれます。


<<留学を通して成長してこなかった場合>>
留学経験者の中には、日本でうまくいかなかったから代わりに留学したという人がたくさんいます。

早稲田大学や上智大学、ICUなどを受験して落ちてしまった。浪人するくらいなら留学準備しようか。仕事が面白くない。日本にいてもつまらないから、とりあえず日本を出てみたい。

日本でうまくいかなくても、海外で成功するパターンもたくさんあります。ただし、成長意欲があることが条件です。成長意欲がない人が海外に出て、日本人と毎日遊んで、親のお金を湯水のように使って、変な異性とデートしてだらけた留学生活をしている人がたくさんいます。(幸運なことに、私の周囲には逆に成長意欲の塊のような仲間がたくさんいましたが)

ダメ人間でも、留学すればとりあえず箔がつくから就職・転職に有利に働くだろうと考えて安易な留学に走るのかもしれませんが、そんなものはばれています。

日本でダメな人間は、開放感ある海外ではもっとダメになって帰ってきます。そんな人のキャリアは、就職・転職活動でもつまづき、長期的には形容できないくらいにすさんだものとなるでしょう。


<<日本文化に合わせられない場合>>
日本文化に再適応できない人も、苦労するでしょう。海外に出れば現地文化になじむため、現地文化を身にまとって日本に帰ってくるわけですが、その状態で企業と接触してもお見合いは決裂するでしょう。

アメリカ留学した人によくあるパターンは、日本の文化が粗野に見えてくることです。アメリカの大学では、徹底的に考える能力を養います。情報収集力、分析力、表現力等の側面において研ぎ澄まされた上でん日本に戻ってくるわけです。

日本に戻ると、日本のいろんな面が見えてきます。いいところも、悪いところも深く見えてくるのです。そして、びっくり仰天するくらい、日本にいる人が日本の悪い面に無自覚なことも。

これはこれでよいのですが、悪いのは日本の悪いところをロジカルに批判してしまうことです。アメリカでは教養ある人々が日々していることですが、日本ではロジカルな批判はその人の、あるいは日本という国の尊厳を踏みにじる冒涜として捉えられてしまいます。

ただでさえ異文化アレルギーのある人が大半なのに、日本批判をしてしまった場合には、話していた相手との人間関係は、その瞬間ほとんどのケースで終わるでしょう。

また、自信まんまんの態度で面接に望むこともだめです。

自分では気づかないかもしれませんが、アメリカなど海外から戻ってくると、海外生活の名残が残っているために自信まんまんの態度で人と接していることがあります。ところが、日本の企業の習慣では位が上の人が自信まんまんでなくてはならず、従業員が自信ありげに見えていては立場上おかしな話です。

就職活動では、お金のある企業の方が立場が上ですので、企業を代表する立場の採用担当者の方が求職者よりも年齢や立場が上です。求職者としては、自信のあるそぶりは見せず、へりくだった態度で、かつ誠実に接していなくてはいけません。


余計なことは言わず、余計なことはせず、日本の文化に合わせる再適応をしましょう。


<<留学生に興味のない企業を希望する場合>>
留学生に興味のない企業を希望する場合も、ほとんどうまくいきません。

例えば、キャリアフォーラムに参加していないのに、リクナビでは大々的にリクルーティングをしているような大企業。リクナビで「留学生歓迎」と謳っていない企業。歴史の長い中小企業。秋採用や通年採用をしていない企業。

みんな留学生に興味がありません。留学生に興味がない企業に熱烈に就職活動をするのは、好きな人に対してするストーカー行為と同じです。無意味なだけでなく、迷惑行為です。留学生を採用する気のない企業にアプローチするのはやめましょう。


<<日本の大学生と同じ土俵で勝負する場合>>
日本の大学生と同じ土俵で勝負する場合も、見事なまでにうまくいきません。

海外の大学を卒業して、リクナビやマイナビ、日経ナビなどを使って就職活動をする場合、情報量が豊富で大学生活の間に就活ばかりしていた猛者と勝負することになります。

また、こうした従来の新卒採用の方法で募集している企業は、日本国内の大学生を採用することを前提とした採用しか行っていないため、留学経験が評価されるどころか、ただのブランク扱いされます。日本の大学でバイトや部活をしてきた学生の経験が評価されるのに比べて、理不尽なほどに低い評価がされてしまいます。

留学経験者は、日本国内の学生が少ない、ジョブフェアなどを活用するしかありません。


<<お金がない場合>>
世間では海外留学ができる人はお金があるから、就活でもお金に苦労していないだろうと思われているふしがあります。これはしばしばまったくの勘違いです。

「留学したいけどお金がない」そんな悩みをぶち破って未来を切り開く9つの知識と方法」でご紹介したとおり、日本の私立大学は世界レベルで見てもトップを争うくらいにお金がかかります。また、海外では日本の国立大学と同等、あるいはそれ以下の費用で学位が取れる大学もたくさんあります。

志はあるがお金がない人には、日本を去って海外の大学に進学することが少なくありません。

留学生が就職活動をするメインの方法としてはジョブフェアに参加することですが、これが金銭的に難しいということがあります。ジョブフェアに行くには、ボストンや東京などへの往復航空券が必要です。また、数日間にわたり滞在先を確保しておかなくてはなりません。

東京ならばインターネットカフェで寝泊りもできますが、ボストンあたりでは最低限安全なホテルを早いうちから確保しておかないと、他のジョブフェア参加者に先に部屋を取られてしまいます。

ジョブフェア開催中に内定を出してくれれば、ありがたいのですが、この後はどこに面接に来てください、などと言われると、「お金がないので面接辞退します」ということにもなりかねません。

私自身、就職活動中にはこの金銭的なハンデを追っていました。ボストンキャリアフォーラムには、航空券代と滞在費程度がカバーされるインターンシップに参加することで行けはしましたが、仕事を探す目的では参加できませんでした。

日本に戻ってからは、地元の名古屋だけでは就活には厳しいので、東京に住む友達のアパートに泊まらせてもらっていました。ただ、数ヶ月も常に泊まらせてもらうわけにもいきません。東京ー名古屋間は夜行バスの往復で8,000円程度するため、次の面接に呼ばれたからといって、そう気安く往復できるものではありません。

東京のマイナビ国際派就職EXPO後には10数社の面接選考が進んでいましたが、とうとうお金がつきて、第一志望の企業だけを残して他のすべての企業の選考を辞退しました。もし第一志望の希望に落ちたら、パチンコ店でバイトでもしながら勉強しようかと考えていました(そしてパチンコ店のバイトに応募したりもしていました)。

私の実家が名古屋付近にあったからまだよかったものの、これが鳥取などであれば就活をすること自体が非現実的であったでしょう。


<<海外就職にこだわる場合>>
海外就職にこだわる場合も、就職先がいつまでたっても決まらないリスクが大きくなります。もちろん、どうしても住みたい国がある、どうしても働きたい会社がある、どうしてもやりたいことがある場合には、ぜひチャレンジしていただきたいものです。

しかし、国境を隔てた就職には、国という壁が立ちはだかります。外国人を労働力として積極的に利用したい国ならともかく、先進国の多くの国は、自国民のご機嫌を取ることに忙しいのです。ただでさえ失業の多い中、外国人に仕事がとられては国民に対して顔出しできないと考える政治家がいます。

日本人留学生の多いアメリカでは、リーマンショックを契機に景気が悪いだけでなく、9・11が発生して以来外国に対して内向きな世論が広がっています。どれだけ優秀な外国人であっても、労働ビザ発給数が極度に抑制されているために、ビザが下りません。そして、こうしたアメリカの内向き傾向が、世界各国に対して長期的に影響を与え、世界中に内向きの連鎖が起きているのです。

もちろん、日本で働くより給料が下がってでも海外就職したい場合には、開発途上国を中心に雇用先はたくさんあるでしょう。制度的にビザが下りないような国に固執することは、よほどの事情がない限りやめましょう。


<<海外大卒者を受け付けていない職種を希望する場合>>
制度的に、海外大卒者が就けない職種があります。

例えば、日本の学校教師などです。どれだけ優秀であっても、どれほどの名門大学で教師資格をとったり、最先端の英語教授法を学んでいたとしても、日本では日本の大学で取得した教員免許がなければ働くことができません。

また、日本で公務員になる場合も、海外大卒者では不利になるケース、受験できないケースがあるようです。ケースバイケースでもあるでしょうが、選択肢が大幅に減る可能性があります。

海外大卒者が就けない職種は、よほどの勝算がない限りはあきらめて、時代が変わるまで待つか、別の職種に転向しましょう。


<<留学先で英語力しか伸ばしてこなかった場合>>
短絡的な考え方を持つ人にありがちなのが、留学先で英語の勉強だけをしてきた場合です。もちろん、英語力があることで英語圏の人などともコミュニケーションが取れるようになってきますが、企業が求めている英語力とは、それだけではありません。

求められているのは、「英語を使って交渉できる能力」「英語を使ってタスクやプロジェクトを成し遂げる能力」「英語を使ってマネジメントできる能力」といったものです。英語力があるといっても、日常会話ができます程度では、評価はされません。

これは、日本語の場合を考えてみれば一目瞭然でしょう。日本語のできる日本人のおばちゃん数人が、近くの公園で井戸端会議をしておしゃべりを楽しんでいました。そんなおばちゃんたちを見て、「あのおばちゃんたち、日本語できる!うちの会社にスカウトしよう」とはならないはずです。

英語力に加えて、英語ができることで留学先でどんな結果が出せたのかが語れない限り、就職・転職において英語力・留学経験が役に立つことはありません。


留学生ができることを最大限に生かす

それでは、留学経験者が就職・転職活動に際してできることを、具体的にご紹介していきます。

<<学業に打ち込む>>
留学期間中は、学業にはしっかり取り組みましょう。もちろん、留学中によい成績を取れれば実績として、就職や大学院進学などに生きてきますが、それだけではありません。何よりも、自分の頭で深く考える思考力を伸ばせます。これは、のちのち人生において効いてきますし、面接官の多くにも、自分の頭で考え行動できる人だと判断してもらえるでしょう。

<<クラブ活動に取り組む>>
よく、「アメリカの大学では成績が大事だから、毎日一日中勉強しないとついていけないよ」とアドバイスする人がいます。これは一面で真実ですが、だからといって留学中に勉強ばかりしていてよいわけではありません。クラブ活動にもしっかり取り組み、社会人として働いていけるような基礎力が、目に見える形で身につけられることが大事です。

<<インターンシップに打ち込む>>
インターンシップに取り組み、学生のうちから職務経験を身につけておくとよいです。アメリカなどではインターンシップであっても、職務経験として正社員としての仕事と同じように考慮されます。優良企業で働けば箔がつきますし、実際の仕事経験があるため多少の仕事はすぐにできるだろうと判断もされます。実際に正社員として働き始めたときは職場環境になじむのも早くなるでしょう。

インターンシップは、日本でもよいですし、留学先でもよいでしょうが、できればどちらも経験しておくと重宝されるでしょう。

さらに、インターンシップとしてではなく、しっかり給料がもらえる正社員職にもし就けるのであれば、海外就職とはなりますが、海外勤務経験として日本に戻ったときに評価されることもあるでしょう。

<<ネット情報を分析>>
留学生は人伝いの情報では日本国内の学生に劣るかもしれませんが、ネット情報では負けません。平等に開かれているインターネットを駆使して、可能な限り情報を収集しておきましょう。

<<日本人留学仲間と協力する>>
ど田舎の大学でもない限り、大学に数人は他の日本人も在学しているでしょう。いくら海外の大学で日本人とべったりするのは避けたいとしても、周りに日本人の留学仲間がまったくいない中で日本の就職に備えるのは無謀です。同じ大学の仲間がいなければ、他の大学の仲間などとコンタクトを取って、励ましあいながら就職活動を進めましょう。

<<ジョブフェアに参加>>
ジョブフェアは確実に利用しましょう。私のお勧めの流れとしては、1年次:ジョブフェアにインターンとして参加、2~3年次:ジョブフェアで見つけたインターンシップに参加、4年次:ジョブフェアで就職活動・内定という流れです。この流れを実践した上で、内定を得ることに苦労することは考えられません。

<<エージェントに登録>>
エージェントに登録し、紹介してもらう企業に対してアプローチする方法も積極的に利用しましょう。私が就職活動をしていたときにはリクルートエージェントがしていましたが、今はリクルートキャリアというリクルート子会社が、リクナビサイトにおいて紹介ページを持っています。私はそのページで紹介されている渡辺さんという方にお世話になりました。

<<気になる企業に直接コンタクト>>
就活サイトやエージェントを使わず、気になる企業に直接コンタクトを取るのも有効です。大企業ではリクルーティングは就活サイトやエージェントを通すことで一括している場合がほとんどでしょうが、中小企業はそうでもありません。

企業に直接コンタクトを取ることで、企業側は就活サイトやエージェントを通せば数百万円かかっている採用コストをカットすることができます。また、求職者にとっても、同じことをしているライバルがほとんどいないため、内定確率を大幅に上げることができます。

<<気になる企業に働いている人にコンタクト>>
気になる企業に働いている人にコンタクトすることで、気になる企業の実態をよりクリアにイメージできるようになります。日本の学生のように、OB・OG訪問ができればその方がよいのですが、留学生は卒業後や夏休みの間に日本に帰国でもしない限りは難しいですし、そもそも同じ大学のOB・OGがほとんどいなかったりします。

ただ、留学生であっても、インターネットを通して気になる企業で働く人や、元社員を見つけることは可能ですし、メールやスカイプを通してコンタクトを取ることもできます。マナーを守り、入念に下調べした上で、誠実にコンタクトしましょう。


就職支援サービスを提供している企業一覧

留学する際には、多くの人が留学エージェント(留学斡旋会社)を利用しています。利用した留学エージェントの就職支援サービスを利用するのもよいでしょう。

以下のエージェントが、就職支援サービスを提供しています。サービスを提供しているエージェントは、人材紹介業の一環として提供している場合は無料で、人材紹介業とは関係ない場合は有料であることが多いです。また、就職支援サービス専門の会社もあります。


<<就職支援サービス専門の会社>>

エストレリータ
 留学生向けに就職支援をしてくれる唯一の専門会社です。複数の人材紹介会社と提携しているため、企業の紹介もしています。エストレリータと提携している留学エージェントもあります。

エストレリータを利用している主なエージェント
JTB海外留学
Kaleido留学サービス
U23
Gettカナダ留学デスク

<<人材紹介業をしておらず、就職支援サービスを提供している留学エージェント>>

留学ジャーナル
DEOW
Wish
カナダ留学舎Brand New Way
ウィル留学センター

ここに挙げた中には、エストレリータなど他の企業と提携しているエージェントがある可能性があります。その場合、人材紹介業も実際にはしているでしょう。

<<人材紹介業の一環として就職支援サービスを提供している留学エージェント>>

BEO(転職者がメイン)
ラストリゾート
株式会社テンプ総合研究所(テンプグループの一員。ICC国際交流委員会として海外インターンシップのIBPプログラムを提供している会社)
Global Study Asia(キャリアフォーラムを運営するディスコインターナショナルの留学斡旋部門)
留学ドットコム

<<日本国内の留学準備校による就職支援サービス>>

ヒューマン国際大学機構(グループ会社であるヒューマンリソシアの外資系就転職サイト”ダイジョブ”によるサービス)
NIC International College in Japan(NIC内就職部によるサポート)

<<ジョブフェア・就職セミナーを開催している会社>>

ディスコインターナショナル(キャリアフォーラムを運営)
株式会社マイナビ(マイナビ国際派就職EXPOを運営)
Global Career Partners Inc.(帰国GO.comを運営)

<<留学生のための就職・転職エージェント>>

リクナビ就職エージェント(リクルートキャリアによるサポート)

リクルートキャリアと提携しているエージェント
ワールドアベニュー
ISI国際学院


まとめ

海外留学をすると就職に不利になる時代が続いてきましたが、一方で過去の留学経験者は逆境を軽く乗り越える高いアドバンテージを維持してきました。特に最近では留学経験者が歓迎される時代の流れがやってきています。留学経験者が就職・転職において成功するための極意を実践し、留学経験者にとって不利なケースに当てはまらないように準備し、できることを最大限に生かすことによって、最高に喜びがこみ上げるような就職・転職を実現しましょう。

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